主任教授メッセージ: 化学科への招待
私たちの世界は変化するもので溢れています。宇宙も地球も生物もそして身の回りの様々な物もとどまることなく変化し続けています。一見変わらないように見えるものでも、よく見ると変化しています。そして、この変化から私たちは自然の営みを学び、それを深く理解しようとし、ときには今までにはない変化を示すものを創り出したりします。このような変化に富んだ私たちの世界を原子・分子の振舞いとして理解し、その理解に立脚して私たちの生活を豊かにする物や仕組みを生み出そうとする学問が化学です。
そのような化学にとって激動の時代が来ていることは皆さんもご承知のことと思います。宇宙開発、地球温暖化、脱化石資源、カーボンニュートラル、水素社会、再生医療、遺伝子治療、免疫療法、AI、量子コンピューター。これらの重要な社会変革要素のどれにも化学は深く関わっています。単に関わるだけでなく、これらの変革要素から生じる社会課題の解決を強く期待されているといってもよいでしょう。それに応えられるのは、化学をしっかり身に着けた若い世代の皆さんです。是非、現代化学のこれまでにない飛躍に目を向けて、その大きな変化の中に皆さん自身が参画していただきたいと思います。
慶應化学科では、力量ある10の研究室が化学の重要な分野をカバーしながら、日々、先端研究に邁進しています。先端研究は新しい基礎を造ります。これを教育にフィードバックしながら、次の時代を担う学生さんに必要な基礎化学の強固な学びを提供しています。1学年40名の学生さんに教員20名で対応する緊密な教育環境は、その強固な学びをサポートします。慶應化学科での学びにおいて、学生さんが社会の中心で活躍する年代になっても決して色褪せない本質的に重要なことを伝えることを目指して教員一同励んでいます。そして、何よりも、教員・学生の壁を越えて、化学を共に新しくしていく共同推進者としての共鳴が私たちの間で響き合うことを大切にしています。そのような慶應化学科のアクティビティに、皆さんも、是非、加わっていただきたいと思います。
慶應義塾大学 化学科主任教授
近藤 寛