化学科藪下研究室を博士課程で卒業して、コロラド大学ボルダー校の化学科にて博士研究員をしている高橋開人です。
高橋尚子や野口みずきなどのマラソン選手の高地トレーニングの場であるボルダーは、大気中の分子の地上測定を行うのに適しているため、アメリカの大気環境研究の中心地でもあります。そのため、地上測定が専門の研究者からの「こんな分子が大気中で測定されたのだけど、どのように生成されたのかわからない」という質問から研究がスタートしたりします。
僕が理論計算によって反応経路の予想を行い、その結果について実験を専門とする共同研究者のグループが大学の実験室で証明し、回答する場合もあれば、逆に「このような分子が大気中に生成されている可能性があるから探してみてよ」と理論化学者であるこちらからアプローチする場合もあります。
大気環境およびエネルギー問題とこれからの科学的フロンティアは様々な分野の専門家による共同研究が不可欠であり、上記のようなField (地上測定)、Lab (実験)、Theory (理論) の交流は盛んになりつつあります。
少人数制の化学科において、有機合成、無機化学、物理化学と幅広い化学の教授陣と身近に接したことで、各分野における「言葉」を知ることが出来た事は今行っている共同研究で非常に役に立っています。大学院では基礎理工学専攻として、化学だけでなく物理や数学などの授業を履修することで、化学科で得た基礎知識に幅を持たせることができたことも非常によかったと思っています。
最後に、化学科のソフトボール大会やサッカー大会などで得た身体を動かす息抜きの大切さは、毎週末大学生たちとバスケットボールをするという形で活かされています。