研究概要

新しい産業技術につながるナノスケール物質の化学において、重要なターゲットの一つは新奇な物性をもつナノ物質創成です。発光特性、磁気特性、触媒活性などの機能を発現する新奇なナノ物質は、次世代の情報通信技術やエネルギーの高度利用の上で重要です。機能発現の基本単位は1~数nmの物質であり、この大きさの物質は、原子が数個から数百個程度凝集してできたナノクラスター・ナノ粒子構造体です。当研究室では、化学の視点からナノクラスター・ナノ粒子の研究を推進し、自ら開発した実験手法を用いて新奇な多成分複合ナノクラスターを創成してきました。その対象は、金属・半導体の原子集合体から有機分子、生体分子にまでおよび、従来の物質科学や生命科学の枠組みにとらわれない新しいクラスター科学を展開しています。その電子物性、幾何構造および安定性の研究から、世界で類を見ない有機金属磁性クラスター、超原子クラスター、巨大ソフトナノクラスターといったナノスケール物質群の構築を進め、種々の新しい物性を発見しています。さらに、ナノクラスターのソフトランディング法を開発して、新奇なナノスケール物質群の特異性を活かした表面デザイン法を確立して、高度な電子分光手法の開拓と併せて表面科学の新展開を推進しています。無機合成化学、高分子化学、有機合成化学、生命科学の知識を活かしながら、産業技術への貢献を念頭に次世代化学の指針となる物質概念の創出に邁進しています。これらの研究成果は、アメリカ化学会JACS、JPC、アメリカ物理学会PRL、JCP等の学術誌を中心に多数公表するとともに、ゴードン国際会議などの国際学会での招待講演を多数依頼されるなど国際的に高く評価されています。

キーワード:複合ナノ物質創成、光磁気機能ナノクラスター、複合ナノ触媒、生体ナノ機能

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